「魔法のやかん」はどこへ?ラグビー選手の体を守るマッチドクター

魔法のやかん

ラガーマンを裏側で支えるドクターと安全対策

ラグビーは、最も激しく体をぶつけ合うスポーツの1つだ。その闘志あふれるタックルやスクラムはラグビーの醍醐味だが、それゆえ激しいタックルなどによって試合中に脳震盪を起こし、ピッチに倒れてしまう選手も出てくる。(詳細は日経BizGateにて)

1990年代頃まではラグビーの試合中に選手が倒れると、魔法のやかんを持った控え選手が駆けつけ、顔に水を掛けたり、時には顔を軽くビンタして意識を回復させるといったシーンを見かけることがよくあった。ラグビーといえば「やかん」を想像する人も多いだろう。

しかし、現在では魔法のやかんが活躍するシーンを見ることはなくなった。実はこれらは「危険な行為」だからである。ワールドラグビーで活躍する医師の山田氏によると、

今は脳振盪を脳の外傷と考えています。深刻な脳の外傷が隠れているかもしれません。マッチドクターは選手が脳振盪かそれ以上の頭部外傷があるかどうかを慎重にチェックするため、選手をピッチ外の静かな部屋に連れていき、10分間かけて脳振盪のチェックをします。

とのことで、脳震盪の疑いのある選手に対してのケアとチェックは徹底されている。

国際マッチやスーパーラグビーの試合を見ていると、選手が頭を打って一時的に治療を受け、その間リザーブの選手が一時的にプレーしていることがよくあるが、頭を打った選手は魔法のやかんの水を掛けられているのではなく、ドクターの診察を受けているのだ。

また、トライかどうか微妙なプレーの時などの判定に利用されているTMOは、選手の安全対策にも利用されている。試合ではマッチドクター専用のカメラを複数用意され、倒れている選手や脳震盪の疑いのある選手を見つけた場合、ドクターがインカムでレフリーに連絡し、試合を一時中断させるという。

ラグビーは最も激しいスポーツの一つで、特にタックルを受けた時やスクラムを組んだ時の衝撃は非常に大きく、残念ながらプレー中に命を落とす事故も毎年発生している。

また、ラグビーを始めても骨折などの怪我でラグビーから離れてしまう選手も多く、ラグビーにおいては常に安全面に対する課題がつきまとう。特に指導者は協会が主導する安全対策プログラムを受講するのはもちろんのこと、強くなるチーム作りをするだけでなく、選手の怪我のフォローとケアをしっかり行いマッチドクターとしての役割も求められる時代になった。