NZ7人制代表を「All Blacks」と呼ぶな!リオ惨敗でセブンズ論争が続く

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NZの7人制代表はどうなる?7人制代表の今後についてNZで論争続く

NZの空の玄関、ウェリントン国際空港に着くと、空港内にはリッチー・マコウやソニー・ビル・ウィリアムズらのポスターが出迎え、街のメインストリートにはダン・カーターの下着姿の巨大広告がビルに掲載、テレビをつけるとCMにはオールブラックスの選手が登場する。

NZにおいてラグビーは国技であり、国民の拠り所でもありその代表チームであるオールブラックス(All Blacks)は国民から尊敬され、男の子であればほとんどが選手になることを夢見るという。日本でいうところの、野球とサッカーと相撲を足したものに相当するかもしれない。

その「All Blacks(Sevens)」がリオで惨敗したことを受け、NZ国内で論争が沸き起こっている。

リオ五輪で3勝3敗、5位に終わったNZ代表

NZは初戦で日本に12-14でまさかの負け、続くケニアには28-5で勝利したものの、予選最終戦でイギリスに19-21で敗れ予選プールCで3位に終わった。

日本戦に負けた時には「オールブラックスが110年以上にわたり、血と涙と汗で築き上げてきた世界で最も優れたスポーツブランドが、わずか15分で深刻なダメージを負わされた。」と報道されたが、その後も不振は続くことに。

決勝トーナメントには得失点差でアメリカを1点上回りなんとか進出するも、準々決勝でフィジーに7-12で敗れてメダルの可能性が断たれた。しかし、続くフランス、アルゼンチン戦には勝利し5位でオリンピックを終えた。

最後に盛り返したものの、予選から全勝で金メダルを期待されていただけにNZ国民は失望、NZの7人制代表は「All Blacks Sevens」と呼ばれることから、「7人制代表はAll Blacksの名を外せ」や、「NZは7人制の大会に参加しなくてもいい」などといった意見が多く寄せられ、メディアで大きく取り上げられている。

NZは人口450万人と世界的に見ると小さい国で、8月13日の段階でリオ五輪で獲得している金メダルは1個。7人制代表にかけられていた期待が大きかったことから、その反動で厳しい意見が相次いでいる。

7人制、マオリ代表ともに「All Blacks」の冠は継続

「All Blacks」の呼称について、NZラグビー協会CEOのSteve Tewは「7人制代表とマオリチームのAll Blacksの冠名は継続する」と明言。

これは経済的な面と契約によるもので、15人制代表と7人制代表、先住民族マオリ族の血を受け継ぐ選手で構成されるマオリ代表のユニフォームを見れば一目瞭然。3つのチームの黒いユニフォームの真ん中には「AIG」との白抜きのロゴが掲載されている。(※リオ五輪時は広告が規制されているため掲載されていない)

オールブラックスは、この世界的な保険・金融サービスの大企業「AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)」と2012年から2018年5月までスポンサー契約を結び、この契約に伴って7人制代表とマオリ代表にもブランディング戦略の一環として「All Blacks」が付けられるようになった。

なお、2012年まで「マオリ・オールブラックス」は「ニュージーランド・マオリ」と呼ばれていた。

NZは経済的にも小さい国で、イギリスやフランス、日本のチームのように、プロラグビー選手に大金を払えるチームはなく、選手を国内に引き留め、代表の強化を図るためにお金は必要。

しかし、今後セブンズやマオリチームが不甲斐ない試合を続けた場合、AIGとの契約が終わった後の新たな契約には、All Blacksのスポンサー契約に、セブンズとマオリが除外される事も考えられる。

NZ、今後は東京オリンピックに向けて7人制代表の体制・支援を強化へ

オールブラックス(15人制)のスティーブ・ハンセンHCは「まずは今回の失敗の原因をしっかりと突き止め、今後の計画を立てるべきだ」としており、何がダメだったのか今後どうすべきかが議論されている。

これまでNZは一線級の選手でなくともセブンズの大会では優勝することができたが、セブンズがオリンピック競技に正式に採用されたことにより各国がをセブンズを強化、リオでNZはこれまでのやり方で勝つことができなかた。

今回の7人制メンバーで15人制代表クラスの選手はソニー・ビル・ウィリアムズのみ、スーパーラグビーのレギュラークラスの選手はブルーズに所属するリエコとアキラのイオアネ兄弟の2人。しかもこの兄弟は2016年シーズン途中までスーパーラグビーの試合にも出場しており、短期間で7人制にフィットしたのかは疑問だ。

これらのことから、より優れた選手を7人制にも投入すべきだ、7人制に特化したチームを作り長い期間強化を図るべきとの意見が多く、傷つけられたブランドを東京で取り戻すべく、強化が図られそうだ。

NZにおけるラグビーは15人制のオールブラックス>スーパーラグビー>セブンズ代表という構図は変わりそうにないが、ラグビー王国の威信をかけて次のオリンピックには戦略的に準備して必勝体制で臨んでくるだろう。

東京オリンピックの「All Blacks Sevens」には「All Blacks」で活躍する、キアラン・リード、サヴェア兄弟、ボーデン・バリット、ベン・スミスらスター選手も顔をそろえるかもしれない。

そうなるとアメリカのオリンピックのバスケチーム同様、「ドリームチーム」として注目が集まる反面、万が一負けた時には大きな代償を払うことになる。

東京オリンピックの7人制ラグビーは東京スタジアム(味スタ)で開催、日本も強化を!

日本は今回、4位という快挙を成し遂げたが、NZ同様にトップリーグや15人制代表、スーパーラグビー(サンウルブズ)との両立などで課題がある。

2020年に開催される東京オリンピック7人制ラグビーの会場は「東京スタジアム(味スタ)」。今回、7人制日本代表が活躍し、オリンピック好きな国民性からもリオよりも盛り上がることは間違いないだろう。

リオで悔しい思いをしたのはNZだけでなく、オーストラリア、フランス、アルゼンチンといった強豪も同様。さらに、スペインやケニアも急速に強くなってきている。

これらの国は東京に向けて強化を加速することは間違いなく、日本も次こそはメダルを獲得できるよう計画的に強化を図る必要がある。リオ五輪が終わり、4年後の東京オリンピックのメダルをめぐる戦いは既に始まっている。自国開催となる次こそは日本のメダル獲得を期待したい。