2019/10/20 日本代表vs南ア代表戦→元日本代表選手の評価・解説

ラグビー

日本v南ア→元日本代表選手の評価・解説

坂田正彰(日本代表33cap)南アに通用する点の方が多かった

日本は最後まで、我々の心を躍らせてくれるようなゲームにしてくれた。セットプレーは安定していたし、1対1のディフェンス、ユニットのまとまり、スクラムからのターンオーバーなど、日本が上回っていたポイントは多かった。

南アに劣る点より、通用する点の方が多かった。

ただ「点」を「線」にした時に相手の方が上だっただけ。パスをここで飛ばしたいというところで、こちらの動きが分かっているかのように、南アはプレッシャーをかけにきていた。

前半、ボールの支配率が高い時に1トライでも取れていたら、流れが変わったかもしれない。田村が相手DF裏のスペースを使おうとキックを蹴った場面があったように、日本は序盤からよく考え、プラン通りに進めていたと思う。

ラインアウトの獲得は少なかったものの、キック処理では松島や福岡がしっかりと対応し、改善できていた。

我々は日本代表に期待をかけ、そして彼らは結果で応えてくれた。アイルランド、スコットランドとティア1(伝統上位国)に2勝し、世界ランキングは試合前に6位まで上がった。後半早々、トライを狙えるところで南アはPGを選択して3点を積み重ねていった。

日本を警戒していたことにほかならないし、本気を見せたということ。勝利できたことで強豪との対戦という夢が目標設定になった。彼らがグラウンドで体現してくれたからこそ、希望を持てるようになった。頑張りに敬意を表し、お疲れさまと言いたい。(スポーツ報知

砂村光信(元U23日本代表監督)選手たちには本当に感謝

南アフリカが早めにメンバー交代を行い、マークスら主力級を入れてギアを上げたのに対し、日本は点差が離れるまで動けずに後手に回った。

後半にブレークダウン(タックル後のボール争奪戦)でボールを失うことが多かったが、フレッシュな相手と対照的に日本には疲れがみられた。南アは予定どおりの交代で、これが優勝を争うチームとの選手層の差なのかもしれない。

その意味では前半にトライを取って主導権を握れなかったのが痛い。南アの速く前へ出てくるディフェンスに対し、日本も今まで出していなかった、さらに深いライン攻撃でボールをつないだが、深い位置でパスを受けるぶんゲインラインまでが遠かった。

守備ラインの裏を狙う、あるいは浅いラインで走るおとりのランナーにパスするなどの工夫が欲しかった。また、相手SHデクラークの速いプレッシャーに対し、SHがボールを出すペースを意図的に落としてオフサイドを狙ってもよかったと思う。

ただ、前半の日本は積極的な攻撃でよく戦い、選手たちは準備してきたプレーをしっかり遂行していた。南アの本当の強さを体感できたのも決勝トーナメントへ進めたから。ここまでチームを導いたコーチ陣、初めてW杯で5試合を戦い抜いた選手たちには本当に感謝したい。(スポニチ

畠山健介(日本代表78cap)ぜひトップリーグへ

W杯準々決勝という日本ラグビーが未体験のゾーンで、「本気の南アフリカ」の強さに触れた。日本もチャンスはたくさんあったが、あらゆる局面でのプレッシャーが一段違った。残念だが、それが正直な印象だ。

負けたら終わりとなる「ファイナルラグビー」という状況では、ディフェンスと規律が重要となる。決勝トーナメントに勝ち残るチームは、攻撃力があって当たり前。後はいかに相手の攻撃力に耐えられるかがカギになる。

今まで日本は、いかに1次リーグ(L)を突破するかを考えてきた。今大会で初めて「ファイナルラグビー」という新たな領域を知ることができた。それは素晴らしい財産になった。

日本代表がアイルランドとスコットランドに勝利し、1次Lを全勝突破したことは紛れもなく素晴らしい成果だ。ただ今後、ベスト8を突破して優勝という道にたどり着くためには、まだまだやるべきこともたくさんある。

代表メンバーは31人だが、試合に出ているメンバーは20人ぐらいに固定されていた。ニュージーランドや南アフリカは、31人で回すタイミングを考え、コンディションを整えながら戦っていた。

1次Lでは、ある程度メンバーを固定して勝利できたが、やはり蓄積されたダメージも大きかった。それが今日の試合で如実に出た。もちろん31人はみんなが素晴らしかったが、これからはさらに「強固な31人」で戦い抜く必要がある。

今回のW杯で、ラグビーの素晴らしさが伝わった人はたくさんいると思う。日本代表のジャージーを買われた方も多いだろう。ぜひタンスにしまわないで、それを着てトップリーグを見に来てほしい。

代表で出ていた選手や、すごいなと思った選手のサインを書いてもらったりして、これからも日本ラグビーを応援し続けてください。(スポーツ報知

沢木敬介(日本代表7cap)ゴールはここじゃない

日本は南アの強さに敗れた。攻守にわたってフィジカルの強さというプライドをぶつけてきた相手。ラインアウト、スクラム、モール…、その強さがボディーブローのように効いた。W杯優勝を含む上位常連チームの強さ。そこに真っ向勝負できたことが素晴らしい。

アイルランドに勝ってチームは自信を手にした。それが、大会を通しての成長だ。自信を持って1つ1つのプレーをした。日本のレベルが低くないことを証明した。

4年前に南アに勝って世界へのきっかけをつかんだチームは、世界と互角に戦えるまでに成長した。ギアを上げた南アは難敵だったが、ウェールズやフランスなら勝てたはずだ。

今大会の日本チームの挑戦は終わったが、日本ラグビーのゴールはここじゃない。今回はホームの利が大きかった。日程や暑さなど環境、応援などに後押しされた面はある。

4年後のフランス大会は違う。W杯開催国でもないから、ティア1とのマッチメークも難しくなる。トップリーグ活性化や育成年代の強化など、日本ラグビー界にとっての課題もまだまだ多い。

ジャパンの躍進だけでなく、日本ラグビー界にとってもW杯開催の意義は大きい。認知度は高まり、ファンも増えた。それを、どう今後につなげるかだ。近い将来、もう1度W杯を開催するのもいい。それだけの価値は十分にある。(日刊スポーツ

今泉清(日本代表8cap)南アとの経験の差に泣いた

日本のバックス陣が、南アフリカとの経験の差に泣いた。

相手の出足が早かったのは、オフサイド気味だったから。私の目には完全にオフサイドに映ったが、審判が笛を吹かなければペナルティーにはならない。全員がオフサイドラインよりも1歩ずつ前に立ち、さらに飛びだすタイミングも早かったと思う。

ただ、うまいのは、それを全員がきれいにそろってやること。1人だけが飛びだせば文句なくオフサイドになるが、ラインがそろっていると審判もとりにくい。そういう駆け引きを巧みに使ったところが、W杯上位常連国の経験なのだ。

日本のラインは浅く、立ったままパスが回ることが多かった。相手がオフサイド気味に飛びだしてくるなら、それに合わせて1歩立ち位置を下げるべき。

相手もタックルの的を絞れなくなるし、突破もしやすくなる。課題だったキック処理を完璧にこなし、準備はできていた。だからこそ、審判さえ欺くような経験の差で負けたことは残念でならない。(日刊スポーツ

伊藤鐘史(日本代表36cap)強豪国は1次リーグの捉え方が違う

前半終了時点ではひょっとしたら…と思いました。フィジカルを前面に押し出してきた南アフリカに対して、3-5で折り返したのですから。

痛かったのは後半の最初の20分で、スクラムでのペナルティーを3回犯したことです。PGを3本中2本決められ、フィジカルを前面に押し出してこられ、着実に3点を重ねられました。ラインアウトでも高さに苦しみました。大きな相手に対しては、ひと工夫が必要です。

後半失速しなかった南アフリカに対して、上がってきませんでした。これは蓄積疲労です。1次リーグを全力で戦ってきましたから。リーチもベストの動きではなかったし、チームとしてハイテンポのアタックが見られませんでした。

4年後は決勝トーナメントで勝つことが求められます。ハードルは上がりますが、高みを目指していくのですから。決勝トーナメントに進出したティア1の常連を見ていると、メンバーをうまく回したり、主力をあえて使わなかったり、強豪国は1次リーグの捉え方が違うと感じます。

とはいえ日本は目標を達成したのです。特にアイルランド戦とスコットランド戦は、こうやってティア1に勝っていくんだ、というものが見えました。楽しませてくれてありがとう、ジャパンありがとう、という思いで今はいっぱいです。(デイリースポーツ

エリスカップ

ラグビーワールドカップ「決勝トーナメント表」

2019年10月10日