2019/9/28 日本代表vsアイルランド代表戦→元日本代表選手の評価・解説

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日本vアイルランド→元日本代表選手の評価・解説

坂田正彰(日本代表33cap)勝つべくして勝った

前半終盤、アイルランドペースになりそうな時に、日本はFWが相手スクラムからターンオーバーし、その後のラインアウトからの連続攻撃につなげた。

スクラムで仕掛けられたのは大きかったし、こういうプレーが選手の気持ちを高める。堀江も「想定内」と言っていたように、JAPANスクラムは堂々と渡り合えた。

先発SHに流を起用し、キック多用も予想されたが、日本はボールを速く回して、相手DFのターゲットにさせなかった。キックを上げるとプレーがゆっくりとしたものになるので、相手のパワープレーが生きてきてしまう。

そうさせないために、流はゲームプランを遂行する中で状況に応じて判断していた。逆に我慢強く、プレッシャーをかけることで、アイルランドは押し込まれた中でキックを出すことになる。これではかえってマイナスだ。

交代選手らも役割をこなし、リーチが入ってから流れも変わった。チームをいま一度引き締め、プレーで体現した。これが「ワンチーム」の姿だ。まぐれじゃない。彼らは勝つべくして勝った。自分たちのラグビーを組み立てて、それを一人一人が実行した。

この日のようにパスをつないで攻撃の回数を重ねてトライに持っていくことに磨きをかければ、次のサモア戦、決勝トーナメントへとつながっていく。次戦に向け気を引き締めて、しっかり準備をしてもらいたい。

我々は今回の勝利がうれしくて、4年前の南ア戦も思い出したりもする。だが、日本代表が本気で目指しているのは、1次リーグの金星ではなく、もっと高いところにある。(スポーツ報知

砂村光信(元U23日本代表監督)ティア1レベルの実力がついた

勝因はディフェンスとセットプレーだ。チーム全体のタックル成功率91%も見事だが、殊勲者1人を挙げるとしたらトンプソンを選びたい。

1メートル96の38歳が誰よりも低くタックルに入るから、みんな続くことができる。途中出場のリーチも先頭に立って相手を倒し、勢いを呼び込んだ。

スクラムはマイボールを100%キープして、相手ボールでもほぼ押されなかった。アイルランドは基本的にFWで勝つことを前提に試合を組み立てるチームで、昨年ニュージーランドを破った時もFWで優位に立っていた。

だが、日本相手に前へ出られなくなった途端に、WTBストックデールやFBカーニーを使えなくなった。途中出場のSOカーベリーはただパスを回すだけ。できるはずのプレーができなくなり、チーム全体がパニックに陥っていた。

対照的に日本は試合当日のメンバー変更やマフィの負傷交代にも動じなかった。そもそも主将のリーチをリザーブに回す布陣が可能となったのも、複数のリーダーが引っ張る大人のチームになったからだ。

4年前はノーマークの状態で南アフリカに勝ったが、今回はホストユニオンとして相手に警戒された状況で優勝候補を倒した。既にティア1レベルの実力がついたと言ってもいいだろう。(スポニチ

畠山健介(日本代表78cap)決勝T進出も見えてきた

ただただ、素晴らしかった。プロップ稲垣の涙が、全てを物語っている。彼はあまり涙を見せるタイプではない。4年前の南ア戦では涙を流したが、その時の感情を超えていたんじゃないか。

今大会にかける思いは彼にしか分からないので、臆測で言うのもおこがましいが、それぐらい高貴な涙に思えた。

BK陣も素晴らしかったが、特にFW陣の奮闘が勝利を引き寄せた。日本は20点ぐらい取れる力はあると思っていたので、いかに失点を抑えるかがカギだった。

FW陣の頑張りが、アイルランドが得意とする近場でのプレーやセットプレーを得点に絡ませなかったことが勝因となった。

効果的だったのがダブルタックルだ。1人が下(足)に入り、もう1人が上に入りボールを殺しにいく。下に入った選手は巻き込まれて動けないが、ボールに絡みにいった選手はすぐに抜けて横に立ち、数的優位をつくって相手にゲインさせないようにする。

それを自陣ゴール前で徹底できたことが、後半の失点0につながった。後半のフランカー姫野のジャッカル(ボール奪取)も、そういう守備の組織力と彼の天性の嗅覚がかみ合ったシーンだった。

歴史的勝利のMVPは、全員にあげたい。「この選手がいたから勝てた」という試合ではなく、誰もがヒーローだと感じさせてくれる試合だった。

どういう選手を選び、どういうアプローチで強化し、どういうラグビーをするのか。今のスタイルが今後の日本ラグビーの教科書にもなると思う。

これで決勝トーナメント進出も見えてきた。ここからは、日本ラグビー界の誰にも分からない領域だ。彼らにしか分からないプレッシャーもあると思うが、チーム一丸となって戦ってほしい。僕も、彼らを信じて応援したい。(スポーツ報知

今泉清(日本代表8cap)スクラムの勝利が勝利の要因

スクラムの勝利が、歴史的勝利の要因だった。最初こそ劣勢だったが、その後に修正。互角以上に組み、相手の武器を消した。スクラムでの奮闘が日本チームを勢いづけた。逆に、生命線を断たれたアイルランドは本来の形を見失った。

選手たちの採点も高くせざるをえない。特に、ジョセフHCとスクラム担当の長谷川慎コーチには「10点満点」をつけたい。

FW陣は長谷川コーチを信じて低くあたる「ジャパンのスクラム」を組み、コーチも選手たちを信じた。HCらスタッフと選手との信頼関係が最高の結果を生んだ。

「ONE TEAM」は大切だが、重要なのは「ONE HEART」になれるかどうか。心を1つに、思いを1つにする。HC、スタッフも含めチームが1つの心で戦うからこそ、観客も感動する。スタンドを揺らす「ジャパンコール」は日本の大きな力。相手は嫌だったに違いない。

過去W杯優勝のないアイルランドだが、世界2位と現時点でトップに位置する強国。サッカーでいえば、ブラジルやドイツではないけれど、オランダにW杯で勝ったようなもの。この熱を今後の試合、さらに将来のラグビー界につなげていかなければいけない。(日刊スポーツ

伊藤鐘史(日本代表36cap)2試合が終わっただけと考えた方がいい

大きく言えば60分間のアタックと、残り20分のディフェンスで勝ったイメージです。もちろん、前半にキックパスからトライを許し、アイルランドの時間はありました。しかし、日本のお家芸であるボールを保持し続けるポゼッションラグビーが効いていました。

ボールを保持して、相手が疲れるまでプレーしていました。ヨーロッパのチームは、こういうラグビーに慣れていません。キックの多いジャパンと見せて、軸はポゼッションラグビー。これは日本のラグビーの文化になります。

いつもより相手を含めてキックが少なかったのですが、それは蹴らせない状況を作ったからです。そういう意味でも、うまくボールを保持していました。

ディフェンスで迷わせたし、日本は一歩先をいっていました。ジャブのように効き、アイルランドはラスト20分で焦りが出て、アタックも単調になりました。日本からすればランナーがまる分かりで、的を絞りやすくなり、思うツボでした。

FWのモールディフェンスも完璧でした。前半、外側に回させないようにマフィがくさびを打っていました。前半の頑張りが勝利へとつながったのです。ラスト20分のディフェンスは魂以外の何物でもありません。

あくまで目標はベスト8。大きな前進ですが、W杯は甘くありません。まだ2試合が終わっただけ、と考えた方がいいです。1試合で一気に変わることはあり得ますから。

前回の南アフリカ戦では勝った高揚感などから、次のスコットランド戦への準備ができていませんでした。間隔が中3日だったこともあり、なかなか難しいところもありました。

今回、試合後の様子をみて、前回のメンバーは割と落ち着いていました。サモア戦までは1週間あります。同じ失敗は繰り返さないでしょう。(デイリー

沢木敬介(日本代表7cap)ゲームプランを選手が完璧に遂行

アイルランドに強みを出させない、日本の戦いぶりだった。しっかりボールをキープして攻める。ポゼッション(ボール支配率)を高めて、相手にボールを渡さない。そういうゲームプランを、選手たちが完璧に遂行した。それが、大きな勝利につながった。

前回大会で南アフリカに勝ったが、多くの人は「勝つチャンスはない」と思っていた。今回は「もしかしたら、いけるかも」と思われた中での試合。周囲の日本代表を見る目も変わっていた。

ハードルが高くなって、地元大会でプレッシャーも大きかったはず。その中で勝ち切れたのは、これまでのハードトレーニングの成果が出たからだ。

アイルランドには勝ったが、スコットランドに敗れれば前回大会と同じく3勝1敗で並ぶ可能性はある。アイルランドのボーナス勝ち点1が響いてくるかもしれない。もちろん残り2試合に勝てば問題ないが、そう簡単なものでもない。

特にリーグ3戦目は精神的にも肉体的にも難しいもの。サモア戦がカギにもなる。試合後、リーチ主将と話をした。慢心はなく、しっかりと気を引き締めていたので安心した。これで、大会がさらに盛り上がることは間違いない。(日刊スポーツ

松尾雄治(日本代表24cap)勝つなんて考えられなかった

ホント、参りました。この松尾雄治、評論家失格だよ。負けても20点差以内だったら上出来だと予想していたのに、まさか勝つなんて考えられなかった。

みんなが良すぎたね。ウィング福岡のトライは「ラグビーのトライとはこういうもんだ」と世界に教えてあげたい。スペースにボールを渡して、ノーマークになった福岡が決める。これこそ、日本の美しいトライ。ただ相手をぶっ飛ばして取るだけじゃない。

キャプテンのリーチも、攻守ともにポジショニングが素晴らしかった。アイルランドは焦って単調に真っすぐ突っ込んできていたが、日本は最後までダブル、トリプルでタックルして止めていた。

アイルランドのラグビーは、ひたすら愚直にスクラムを押し、必死に走る。だが、見る方としては、あまり面白くない。もう少し、自由さがあればいいのに、と思わせるものだった。それが今のシュミット監督が就任したことで、もっと自由性を持って楽しむラグビーを教えられたのではないか。

その考えをアイルランドの選手たちが理解するようになったことが、世界ランク1位に到達することにもつながったと思う。ただ、そのベースには、まじめで、一生懸命という概念があることは間違いない。今後どう巻き返すかも、楽しみだ。

日本の次戦の相手はサモアだが、決して侮れない。一人一人のパワーという点では、アイルランドにも引けを取らない。今日の試合を見て「日本のディフェンスはいいぞ」と研究してくるだろう。ただ、日本としては、相手が走り出す前に止めていけば勝てるはずだ。

 ともかく今日の勝利は、びっくりした。頼もしい日本代表の後輩たちに、感動させてもらった。ありがとう!(スポーツ報知

村田亙(日本代表41cap)奇跡ではなくしっかり準備して勝ち取った勝利

試合を見ながら目頭が熱くなった。粘り強いタックルでアイルランドを止め続けた日本の選手たちに感動したからだ。

FW全員を褒めたい。本当に体を張って、一の矢、二の矢と常にダブルタックルで相手を寸断した。そして、球出しを遅らせて防御ラインをセットしていた。ディフェンスの勝利だと思う。

リーチは前半途中から出て、絶対に抜かせないハードタックルでことごとく相手の攻撃を阻んだ。38歳のトンプソンも後半20分すぎまで献身的にプレーした。タックル成功率93%はすごい数字だ。2トライされた以外で、危ないシーンは少なかった。

スクラムもよく耐えた。稲垣と具智元の両プロップが頑張り、フッカーの堀江がうまくコントロールしていた。前半30分すぎに相手ボールスクラムを押し込み、PKを奪い精神的に優位に立てたことも大きかった。

アイルランドはキーマンのSHマレーとWTBストックデールが目立たなかった。これは、やはり司令塔のセクストンを欠いていたことが大きい。逆に日本は、SH流とSO田村のハーフ団がしっかりとゲームを組み立ててマイボールを継続できた。

後半16分に流に代えて田中を投入したのは攻撃のテンポを上げるためのスイッチ、直後にスクラムから継続して外を使って福岡がトライ。みんなが100%の力を出さないと強豪には勝てない。

奇跡ではなく、しっかり準備して勝ち取った勝利と言えるだろう。(時事ドットコム

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