2019/9/6 日本代表vs南アフリカ代表戦→元日本代表選手の評価・解説

ラグビー日本代表ジャージ

日本v南ア→元日本代表選手の評価・解説

今泉清(元日本代表8cap)課題がでたが、日本には修正する力がある

地力の差を見せつけられる試合の中で、唯一の日本のトライは光った。相手のパスミスを奪ってから松島につないだプレーが素晴らしかった。ラファエレが右手だけでボールに触れ、モエアキオラにパス。

仮にキャッチしていたら、相手につかまっていた。守備から攻撃に転じた時の判断の早さ。この日のように守備が強固なチームからトライを奪うためには必須だし、日本の生命線でもある。

守備の練習、攻撃の練習は重ねられても、このような場面を想定しての練習は難しい。どうしても個人のスキル、センスに負う部分が大きくなる。そういう個を持った選手がいることは日本の強みでもある。

完敗の中でも1トライは挙げた。まったく戦えないわけではないことの証明でもある。あとは、本番までの修正力。課題は多くでたが、日本には修正する力がある。

開幕まで2週間、ここで世界トップの真の実力を知れたことは、必ず生きてくる。(日刊スポーツ

畠山健介(元日本代表78cap)8強入りへの強い意志が感じられた

収穫と課題が出るのがテストマッチだ。収穫は前半15分と後半20分のアタックだった。テンポとモーメンタム(勢い)の良さが出ていて、南アフリカのゴール目前まで迫った。

トライこそ取れなかったのは悔しいところだが、日本のいい形が見えたプレーだった。オールブラックスに引き分けるなど、8月の4か国対抗で優勝した南半球の王者相手に通用し、脅威になることが分かったのだから、これは大きな材料だ。

W杯でもこういう場面がしっかり見られれば、8強入りを目指せると口にできる。

メンタル的な良さを感じたのは、いくつか狙える機会があったPGのショットを選ばず、積極的にトライを狙いに行ったところだ。この試合をしっかりトライアルし、チャレンジしていく気持ちに8強入りへの強い意志が感じられた。

課題は何点かあった。相手が多用したキックの処理にセットプレー、不用意にペナルティーを与えた規律の部分だ。ハイパントの空中戦はキャッチなど改善点あり。ラインアウトはクリーンキャッチの精度アップが必要だが、コミュニケーションをしっかり取れば改善できる。

これだけフィジカルの強い相手にけがは仕方ない。開始すぐに負傷して外に出た福岡もコンタクトではないところで痛め、後半序盤にはナキ(マフィ)が交代した。ともにW杯を戦う上で重要な戦力。試合に出なかった堀江や姫野がそうだ。

日本中の期待を背負うが、気を張らずに、まずは体をしっかり休めてほしい。(スポーツ報知

坂田正彰(元日本代表33cap)意義のある試合

日本代表にとって、W杯直前に課題や修正点がはっきりと見えた意義のある試合だった。日本がフィジー、トンガ、米国に3連勝して優勝したパシフィックネーションズ杯では味わっていない圧力をティア1の南アフリカ相手に感じたと思う。

例えば、攻守においてキックが上がった時、南アフリカの圧力が強く、今までなら選手1人で処理できた場面に対応できてなかった。その時にどう人数を掛け、人数が足りなくなったところをどうカバーするのか。W杯までにもう一度考える機会になった。

セットプレーは収穫があった。スクラムは8人がまとまって組んで押し、南アフリカFWの頭を上げる場面さえあった。あそこで負けていたら本当にバックスは何もできなくなるので、安心した。

ラインアウトも最初こそミスをしたが、その後しっかりと立て直した。PGを狙わずタッチキックから自分たちを試そうという姿勢が見えた。

南アフリカ戦は同じくフィジカルの強いアイルランド戦などで必ず生きてくる。選手たち一人一人の顔も落胆ではなく、W杯でどう改善しようという表情をしていた。まずは開幕のロシア戦で成長した姿を見せてほしい。(スポーツ報知

菊谷崇(元日本代表主将、68cap)良い部分が見られない試合だった

全く良い部分が見られない試合だった。大きな原因はフォワードのセットプレーが安定しなかったことだ。ラインアウトを最初から連続してミスするなど、自分たちが意図するボールの獲得ができなかった。

2015年W杯での勝因の一つはラインアウトが安定していたこと。ティア1のチームと対戦する上で、自分たちからミスするとこういう結果になってしまう。

バックスはアタックラインが横に流れていたため、プレッシャーをそのまま受けてしまった。南アフリカはブレークダウンの場面で素早く次のディフェンスに備えるなど、カバーディフェンスも意思統一がされていたため、日本は思うように突破を図れなかった。

本大会まで残り2週間。ここから大事なのはフォワードはラインアウト、スクラムの確認作業。ラインアウトは後ろにムーブを使えば取れていたのだから、考えがぶれる必要はない。

バックスは相手のプレッシャーが厳しくてもタテに攻めないといけない時間帯が必ずある。真っすぐにアタックすることを、改めて意識することが必要だ。(スポニチ

砂村光信(元日本代表)修正しないとW杯は厳しい

南アフリカがここまでキック中心で来るとは、日本も想定できなかったのではないか。ディフェンスラインで速いプレッシャーをかけられ、蹴らざるを得ない状況に追い込まれ、ハイパントはほぼ南アに確保された。

本来ならハイパントは蹴った日本側も、競り合う選手がいなければいけないが、追いかける選手がいなかった。ディフェンスが押し上げる速さもフィジー戦などに比べて遅く感じられ、チームでなく個々に守っていた印象を受けた。

福岡の負傷交代が影響した可能性はある。ハイパントでは率先して競り合い、キックに対するディフェンスの意識も高い。代わったモエアキオラはキックオフで相手にプレッシャーをかけられなかった。

W杯では誰が出ても同じプレーができることが理想で、想定外の出来事にも試合中の対応が必要。アイルランドとスコットランドも日本攻略のヒントを得たはずで、修正しないとW杯は厳しい。

ディフェンスそのものは良かった。失点はミスからで、ラインブレークは許さずモールも押されなかった。ミスが続いた田村は試合中、引きずらずにプレーするメンタルが欲しい。

代わりがいない選手だが、同じことがアイルランド戦でも起きるなら先発を変える決断も必要になる。(スポニチ

伊藤鐘史(元日本代表36cap)キャッチングのスキルが大事

あらためて、ラグビーにおいてキャッチングのスキルがいかに大事か、ということを思わせる試合でした。ボールをキャッチする際の精度が、そのまま差となって出た試合と言えるでしょう。

相手のプレッシャーがきつかっため、ミスを犯したとも考えられます。負けはしましたが、数的優位を作れた場面がありましたし、崩してもいました。ただ、崩したところにうまくボールを運べませんでした。

W杯になると、そうそうチャンスは訪れません。あと2週間、キャッチングのスキルを上げていくことはもちろんですが、ボールを取れた後にどう切り返すか、を考えていくことです。

キャッチしても、止まって蹴り出していたら今日のような結果を招きます。切り返しの速度を上げ、ランかキックの選択をしていくことです。日本は攻めながらキックをしていかなくてはいけません。

W杯を見据えて、強豪国のプレッシャーを経験できたことは大きいと捉えることです。パシフィック・ネーションズ杯のようないい状態のままでいくと、ひどい目にあってしまうことだってあり得ます。いい意味で勉強になった、と考えることが大切です。(デイリー

沢木敬介(元日本代表7cap)ポジティブな敗戦

点差だけ見るとショックな負け方かもしれないが、まったく心配はない。逆にポジティブにとらえていい敗戦だと思う。優勝を狙うような強豪相手に通用した部分、逆に課題となるところ。それが明確に分かった試合だった。だからこそ、ポジティブになれる。

まずスクラム。確かに押されたところもあったが、マイボールはしっかりとキープできていた。南アのスクラムは今、世界のトップレベル。そこと互角に組めたのは大きい。ここで耐えられたことは、他のチームとやる時に自信になる。

そして、タックル。成功率81・5%は、試合の前に「合格点」としていた85%には届いていない。後半に疲れが出たのか75・9%と落ち込んだためだが、前半だけなら86・1%と十分な数字だった。フィジカルの強い相手と、互角に戦えていたのは大きな収穫だ。

モールトライを許さず、近場をパワーで「ゴリゴリ」攻めてくるのにも対応できた。FWのバトルは健闘していた。ただ、それを80分間続けるのは課題。タックル成功率のように後半になると数字が落ちる。高いレベルで80分間続けないと、強いチームには勝てない。

日本はポゼッション(ボール保持率)で57・9%と南アを上回った。キャリーによる獲得距離も654メートルで458メートルをしのぐ。パス本数も191対68と圧倒的だった。

それでも、トライは1本対6本。ただボールを持ち、パスを回しても、トライは奪えない。問題はどこでボールを持ち、どこで相手に持たせるかということ。そのマネジメントの差が得点差になった。

気になるのはキック。日本はWTB松島や後方に下がったSO田村の裏に精度の高いキックを蹴られ、そのボールを再獲得された。南アが再獲得を狙って蹴ったハイキック12本のうち半数近い5本を取られた。対照的に日本は6本蹴って再獲得は1本だけ。この差がそのまま結果に出た。

より相手のキッカーにプレッシャーをかけて、キックの精度を落とさせるところが重要だ。逆に日本はキッカーが余裕を持って精度の高いボールを蹴ることができるように、相手のプレッシャーから守らなければならない。ここは、W杯に向けての修正点になる。

日本がW杯で戦うA組で最強とみられるアイルランドの守備は、この日の南アにも似ている。具体的に言えば、守備の時に上がり目のポジションをとるFBの背後が狙えるということ。この日、それが見えたこともW杯への収穫になる。

4年前の南ア戦、日本は周到な準備を重ね、それまで隠していたサインプレーでトライも奪った。この日の日本には、まだまだ見せていないサインプレーがあるはず。それを隠したままW杯本番を迎えられる。

本番まで2週間、ポジティブな大敗の中にこそ、日本が目指すベスト8へのヒントは詰まっている。(日刊スポーツ

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