2019/8/10 日本代表vsアメリカ代表戦→元日本代表選手の評価・解説

ラグビー日本代表ジャージ

日本vアメリカ→元日本代表選手の評価・解説

菊谷崇(元日本代表主将、68cap)日本の守り勝ち

日本の守り勝ちだ。米国に簡単にゲインをさせず、「手詰まりのキック」という状況に何度も追い込んだ。

後退しながらのキックは、精度を欠くことが多い。米国はダイレクトタッチ(蹴った地点から相手ボールのラインアウト)のミスが多く、日本が楽に獲得できるような深いキックも目立った。

手の内が読めたため、SH田中や流、フランカーのリーチは前もって下がっていた。蹴られた後の準備ができ、スムーズな反撃ができた。

W杯初戦で当たる「仮想ロシア」と言うべき、当たりが強い米国を後退させた要因はタックルだろう。

2人で相手を持ち上げるような「ダブルタックル」でボールの自由を奪い、素早い球出しをさせなかった。15年W杯では、低いタックルで「まず倒す」スタイルだったが、今は腰上に当たって簡単に寝かせないのが特徴だ。これで次の攻撃を遅らせた。

前半だけでハンドリングミスが7回、反則が6回もあったのは反省点。ただ、攻撃がチグハグになる場面はW杯本番でも必ずある。守りで試合をつくることができることを、世界に示した意味は大きい。(スポニチ

砂村光信(元日本代表)FW第1列のDFが安定

大会を通じてディフェンスが安定していた要因はFW、特に第1列がよく前へ出ていたからだ。

2本目のトライへつなげたハンドリングも含め、稲垣と堀江の充実が目立つ。

逆に言えば控えとの差が大きいのもFW第1列。フッカー2番手の坂手は、先発するとリーダーシップを発揮するが、途中出場だと物足りなく映ってしまう。

ロックのムーアはW杯当確だろう。派手さはないがよく走り、必ずポイントにいて、相手を剥がす仕事をする。

バックスではトゥポウがディフェンスで代えが利かない存在。コカ・コーラ時代もCTBコンビを組んでいたラファエレに、福岡、松島、中村も外せない選手だ。

山中はミスもあったが、アタックでは走れるし、パスも出せる。途中出場でFBに入ったレメキ、松田とともにユーティリティーとしても使える。

W杯メンバーは31人だが、自国開催の日本はバックアップ選手をすぐに合流させられる利点がある。

最初からチームに同行させられれば、実際は35~36人で戦うと考えてもいい。31人には、控えがやや不安な左右のプロップやフッカーを3人ずつ入れて層を厚くし、コンビネーションを高めておくような選考も面白いと思う。(スポニチ

今泉清(元日本代表8cap)FB山中が好プレーで勝利に貢献

前半開始直後、FB山中がミスをした。代表生き残りのかかる試合で緊張したのか、相手のハイパントを落球。立ち上がりを重視する日本のゲームプランを台無しにしかねないミスだった。

しかし、その後の立ち直りは素晴らしかった。好プレーで勝利に貢献した。

188センチと体もあり、当たりの強さはロックを吹き飛ばすほど。左足キックも正確だった。しかし「プレーが軽い」「波がある」と代表に定着できなかった。

急成長したのは昨年、神戸製鋼スミス総監督の「強みを生かす」指導で自信をつけた。強豪チームのSOでプレーしていた時は常にトップレベルの選手のサポートがあったが、FBは最後尾、誰の助けもない。

自信を持って自分の強みを出せれば、代表でも輝ける。BK陣の層を厚くするためにも、頑張ってほしい。(日刊スポーツ

吉田義人(元日本代表30cap)スクラムが課題

大会3試合を通じて日本は安定した力を発揮した。FWが大きく、パワーランナーも多い米国は近年、力をつけてきているが、しっかりと勝ち切った。

前半11分のWTB福岡のトライに、日本がやろうとしていることのエッセンスが表れた。

左から右へと大きくボールを動かす中で、HO堀江が片手で脇の下から自分の後方の味方へ投げる「バックフリップパス」でSO田村につないだ。

相手をぎりぎりまで引きつけられるため有効な技術で、日本でもこなせる選手が多くなった。テストマッチ(国の代表同士の対戦)のハイプレッシャーの中でも普通にこなせるのが心強い。

これでW杯代表31人が決まる。9月の南アフリカ戦でどんな戦いを見せてW杯に乗り込むかが楽しみだが、気がかりなのはこの日の試合終盤に入れ替わった控えのFW第1列。

後半31分に米国に取られたトライは、スクラムを一気に押されてボールを失ったのが起点だった。スクラムは生命線でもあり、開幕まで残り40日でこの差を埋めてもらいたい。(サンスポ

沢木敬介(元日本代表7cap)いい準備ができている

点差以上に実力差があった試合だった。(W杯1次リーグの)ロシア戦を想定した時、ポジティブにとらえられる。

フィジカルが強い相手に対して、十分に対抗できた。特に、FW周辺での密集。個々のバトルでも負けていなかったし、逆に圧倒する場面もあった。

守りでも、やってきたことができていた。ラインアウト獲得率は決して高くなかったが、相手の獲得率を低く抑えることができていた。相手ボールの時のプレッシャーがよく、自由にプレーさせなかった。練習してきたのだろう。それが、見事に機能していた。

仮想ロシアとして、米国相手に4トライしてボーナスポイントを得たこともよかった。W杯初戦のロシア戦で1つでも勝ち点を多くとることは、その後のリーグを戦う上で重要。実力通りに試合を運んだから、きっちりと1点をとれた。

もちろん、反省すべき点もある。ボールセキュリティーが悪かった。ハンドリングエラーなどでボールを失うことが多すぎる。ペナルティーも米国に比べて圧倒的に多かった。

汗でボールが滑ったのかもしれないが、試合内容で圧倒しても単純なミスでボールを失うのはもったいない。

テストマッチ3試合を通して、いい準備はできている。もちろん課題も多く出てきたが、この時点で見えたことは、本番に向けてはポジティブだ。

代表発表に向けてスタッフが最も頭を悩ます時だが、この3試合で途中出場で生きる選手、頭から使うべき選手のメドも立ったはずだ。(日刊スポーツ

坂田正彰(元日本代表33cap)控え選手が底力を

PN杯を制した日本は、反則やハンドリングエラーが多かったものの、W杯の予行演習で好結果を残した。

最終登録メンバー31人を絞り込む材料がそろい、首脳陣はW杯8強入りへの構想を練る本格的な選考作業に入る。主力の骨組みは固まっているはずで、吟味されるのが控えの選出だろう。

PN杯3戦と9月6日の南アフリカ代表戦の4連戦をW杯1次リーグ(L)4試合と重ねると、今回の米国戦は1次L第3戦のサモア戦に当たる。主力の疲労がたまる頃で、必要とされるのが控えの力だ。

米国戦で起用され、力量が試されたのは負傷明けのプロップ山本やロックのウヴェ、FB山中ら。首脳陣がテコ入れしたいポジションで最低限の仕事は果たしていた。

インパクトプレーヤーとも呼ばれる控えの役割は、チームが失速しかけた後半の終盤などに勢いをつけること。求められるのはスタメンとのコンビネーション。穴があくと、日本が一番力を入れている組織的な防御にほころびが生じる。

例えばフッカーの堀江とプロップのヴァルがセットとなり、ダブルタックルにいくようにペアリングが決まっている。控え選手の投入後、この役割分担がしっかりできていないとミスにつながる。

ミスが増えると控えの信頼度が低下し、スタメンの負担が増えてしまう。次戦の南アフリカ代表は、恐らくフルメンバーではこないはずだ。日本は前半で控えを全て入れ替えるだろう。控えの底力を示してほしい。(スポーツ報知

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