2019/7/27 日本代表vsフィジー代表戦→元日本代表選手の評価・解説

日本フィジー

日本vフィジー→元日本代表選手の評価・解説

菊谷崇(元日本代表主将、68cap)

日本は前半の入り方が素晴らしかった。グラウンドを大きく使って展開。密集からの次のアタックも速く、近場を切り裂いた。フィジーに攻撃の的を絞らせなかっただけでなく、陣形を整える暇すら与えなかった。これでリズムをつかんだ。

昨年は違った。ハイパントの後に、懸命に走って重圧をかけ、相手のミスを誘う形が目立った。

しかし、この試合は全員に崩す意識があった。前半23分、FWのショートパスで中央を突破。田村―堀江―松島―ラファエレとつながる美しいトライで22―7と突き放した。自分たちで仕掛ける形になっている。

課題はモール。押し込まれて2トライを許した守備だけでなく、攻撃でも崩せなかった。キックオフからの反撃も反省がある。簡単に蹴らなかったが、縦を突くのか、回すのか、意思疎通に欠き、危ない場面をつくった。

せっかく点を取っても、ピンチから始まっては元も子もない。フィジーのミスに助けられたが、後半はどう転んでもおかしくなかった。(スポニチ

砂村光信(元日本代表)

宮崎で長期合宿を張った成果は特に、大きな選手ぞろいのフィジーを上回ったフィジカル面で見られた。

象徴的だったのがプロップの稲垣。SHから直接ボールを受けて後ろへパスする際、激しく突っ込んでくるフィジーのタックルを何度も浴びたが、平然と立ち上がって次のプレーに参加していた。

パスを放る時に横からタックルに入られるとケガをしやすいが、フッカー堀江やプロップのヴァルも恐怖心を感じさせないプレーをしており、合宿で積み上げたハードワークをFW第1列が体現していた。

WTB松島、FBトゥポウの配置も良かった。松島はポジションに関係なく仕掛けられるし、タックルがいいトゥポウは後ろに抜けてきた相手を一発で止めた。

アタックでは松島を、ディフェンスではトゥポウをSOの位置に置くなど、WTB福岡を含めたバックスリーなら局面に合わせて動くことが可能だ。

38歳ながらフル出場したトンプソンは凄いのひと言。暑さの中でも体を張って仕事量は落ちず、必要な選手と改めて痛感した。(スポニチ

坂田正彰(元日本代表33cap)

勝敗以上に日本代表の成長を感じた試合だ。6月上旬から7月中旬の宮崎キャンプを経て、今年初戦の一番の収穫はディフェンスで規律を守り続けられたこと。

後半、体がしんどくなる時間帯でも、キックして相手にボールが渡った時、誰か一人でも遅れることなく対応し、フィジー代表が得意なアンストラクチャーな局面をほぼつくらせなかった。相手がチャレンジしてきた後半、慌てることなく止めていた。

攻撃面では、フィジーがさほど攻めてこなかった前半、効率よく得点できた。23分にマフィのオフロードパスなどでつないで、ラファエレが決めたトライなど、素晴らしいランニングフィットネスを見せた。

スクラムの新ルールは選手もレフェリーもまだ試行段階だと感じたが、日本代表は後半、FW第1列が三浦、坂手、木津のリザーブ陣に代わっても劣勢にならず、同じスクラムが組めていたことが大きい。

また、前半に密集から持ち出して松島のトライを呼んだ茂野や、途中出場してゲインを見せたレメキら、これまで出場機会のなかった選手たちの気概を見た。これはW杯を控えたチームにとって一番大事なことだと思う。

課題もある。後半に自陣ゴール前のラインアウトモールから奪われた2トライだ。

まず、あの場所でラインアウトを与えないようにエリアマネジメントしないといけないし、もし与えてしまった場合もモールを組まれる前に潰してしまわないと苦しい。次のトンガ戦でもW杯へ向けて勢いがつく試合をしてほしい。(報知

沢木敬介(元日本代表7cap)

大会本番までわずかに迫った中でのフィジー戦だったが、勝つことができ、内容もよかった。何よりもトレーニングしてきたことの成果が、数多く見られたのが素晴らしい。本番に向けて明るい材料といえる。

特によかったのが、セットプレー。ラインアウトは1本ミスしただけで成功率は9割を超えた。昨年6試合の平均を大きく上回ったのは、練習の成果だろう。スクラムも最初に反則をとられたものの、その後は修正して100%。こちらも安定感は抜群だった。

進化が見えたのは、セットプレーを起点に奪ったトライが3つあったこと。前半サインプレーから奪った松島のトライやラインアウトからのモールを押し込んだ姫野のトライも準備通りといえる。

セットプレーが安定すれば、そこからの攻撃パターンも増える。セットプレーが計算できれば、試合は優位に運べる。

もう1つ、目立ったのはボール保持率。日本は後半20分まで60%台後半、残り20分はリードされているフィジーが攻めたために落ちたが、ほとんどゲームは支配していたといえる。

フィジーのようなアンストラクチャー(陣形が整わない状態)での攻撃が得意な相手には、ボールを渡さないことが大切。そのためには、ボールをキープし続けることが必要になる。

もちろん、相手によって戦い方は変わってくるが、似たスタイルのサモアとのW杯での対戦を考えれば、いい準備ができたといえる。

もちろん、まだ課題はある。タックル成功率は低かったし、後半のチャンスを逃して相手を仕留めきれないと本番は苦しい。ラインアウト-モールに対する守備もこれからだ。ただ、これはトレーニングの優先順位が低かっただけ。本番までには改善するだろう。

セットプレーが安定したことで、試合の入りも良かった。うまく試合に入り、早い時間帯にリードを奪えれば、この日のような快勝にもつながる。本番まで2カ月を切り、テストマッチも3試合を残すだけ。

フィジー戦を見る限り、ここまでの準備は順調に来ていると見ていいだろう。(日刊スポーツ

今泉清(元日本代表8cap)

誰の目にも素晴らしい松島の2トライだが、実は守備での貢献も大きかった。

素晴らしかったのは、そのポジショニング。本来FBだが、この日はWTBとして出場した。両方できる能力の高さは、守備での絶妙な位置取りに見えた。

試合中、松島はマークすべき相手WTBとの間合いを変化させた。離れればパスされ、詰めれば裏へのキックを使われる。どちらもできないように、詰めたり離れたり。ムダな上下動を繰り返すことで相手にプレッシャーをかけ続けた。

相手のSOは松島の動きを嫌がり、プレー選択に迷った。判断のスピードも遅くなった。

後半のドリブルトライも、ライン突破をされた後のピンチを何度も防げたのも、このポジショニングがあったから。松島のWTB起用は、今後もありそう。日本代表にとっても、貴重なオプションになりそうだ。(日刊スポーツ

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