サンウルブズのSR撤退は必然
↑は2016年2月のサンウルブズ開幕戦時に秩父宮で配布された号外。
この時は2万人のファンが駆けつけ秩父宮は大きな高揚感で包まれていた。
しかし、サンウルブズは2020年シーズンの5年契約終了時にスーパーラグビー(SR)から離れることに(理由等詳細)
日本協会は(おそらく)SRに継続参戦する気は全くなかったにも関わらず、3月13日に「参戦を希望」と発表。
さらに朝日新聞を使って「年10億円も求められた」と協会寄りの報道させた。
説明責任を回避しようとする姿勢は論外だが、今回の件はいわば結婚を前提にお試しをかねて同居をしたものの、合わずに別れたカップルのようなもの。
SRからただ離れるのではなく「次に何をするのか」が重要になる。
SR参戦で日本が得たもの
サンウルブズのSR参戦は日本に多くのプラスをもたらした。
日本は反対論もあった中でなんとか参入。
ホーム戦の一部をシンガポール開催とするなど妥協までした背景には「母国でのW杯に向けての代表強化」という強い想いがあった。
勝ち星を多くあげる事はできていないが、日本の選手と代表のレベルUPには繋がっている。
さらに、日本のラグビーファンにSRのハイレベルな試合を身近なものとして提供することもできた。
秩父宮へオレンジのジャージを着て応援する熱心なファンも運営サイドを勇気付けたし、狼の遠吠えなど独自のスタイルも確立。
出口戦略は失敗したが、デメリットよりもメリットの方が大きかったのは明らかだ。
SANZAARが得たもの
南ア、NZ、豪、アルゼンチンが出資してSRを運営しているのがSANZAAR。
これらの国の代表チームは強いけど、どこも資金難。その上、観客動員も苦戦。
ビジネスを拡大させたいSANZAARにとって、サンウルブズは日本をはじめとするアジアでのマーケット拡大の突破口になることを期待されていた。
SRのブランド力が高まり、日本企業などの資金も入ってくる。
ところが、期待したほどマネーを獲得することができなかった。
SANZAARは日本のチームをSRに参戦させても財布が潤うことはないということ、さらにアジアでのマーケット拡大の難しさを経験として得ることができた。
日本は次に何をするのか?

参戦前から分かっていたとはいえ、長距離移動は選手にとって厳しいものだった。
SANZAAR負担とはいえ、ビジネスクラスのコストもかなりの負担になっただろう。
また、当たり前だが利害関係者が多くなればなるほど何かと面倒だということも体感した。
SANZAARに出資し、深い関係を築こうとしなかったのも理解はできる。
スポーツ紙はサンウルブズが欧州リーグや豪フォースが主導するGlobal Rapid Rugbyに参戦する可能性も伝えているが、また同じ事の繰り返しになるだろう。
海外リーグへの参戦はやめた方がよい。
自分達でコントロールできることに注力を
日本の国内リーグ「トップリーグ」は2021年度からホーム&アウェイを導入するなど新リーグに移行する予定とされている。
しかし、これまで通りの「企業の部活動の大会」では、平均観客数5,000人のリーグから大きく飛躍することは期待できない。
小手先の変更ではなく、抜本的な改革が求められる。
プロ野球、Jリーグ、Bリーグは観客動員を伸ばし、勢いのある野心的な会社がプロスポーツに相次いで参入している。
さらに、5Gが普及すると試合のネット視聴環境が劇的に改善される見込みで「スポーツビジネス」が大きな変革期を迎えている。
ラグビーもその輪の中に入らなければ、過去のスポーツになってしまう。
幸い日本は人口が多く経済規模も大きいので、自国内でできる事が多い。これはNZや豪にはない強みだ。
理想はサンウルブズのようなプロチームを日本各地に作ること。
そもそも世界ランキングで日本よりも上位の国はプロ選手で構成されている。さらに高みを目指すならプロ化は避けられない。
ハードルは高いが日本も国内プロリーグの創設を真剣に検討すべきだ。