混迷を極める「東芝」決算開示できず。今後は東証2部降格?サザエさんも降板か?

東芝

決算は公表されず。名門企業「東芝」が創業以来最大の危機に

東芝は昨年末にアメリカの原発子会社の事業にて数千億円の損失が発生すると発表、年が明けるとその混乱ぶりを表すかのように損失額も4,000億、5,000億と徐々に大きくなり株価も下落、連日東芝の厳しい状況を伝えるニュースがテレビや新聞で報道された。

そして迎えた2月14日。この日の正午に東芝の2016年度第3四半期(4-12月期)の決算が発表される予定だった。多くのマーケット関係者が注目していたが、時間になっても取引所の適時開示情報閲覧サービスには東芝の決算資料がUPされることはなかった。

決算が開示されないことに一時情報が錯綜したが、東芝は午後になって「1月にアメリカ原発子会社にて経営者が決算に対して圧力をかけたという内部通報があり調査が終わらなかった」として決算発表を延期すると発表した。

上場企業は四半期末から45日以内に決算報告を公表しなければならず、東芝においては 2月14日が最終期限で上場企業が決算発表を延期するのは異例なこと。その後も午後4時開始予定だった経営陣の会見が始まったのは6時半。東芝の混迷を象徴するかのような1日となった。

東芝は2016年度第3四半期の決算発表を3月14日に延期することを関東財務局に申請し、承認されている。

相撲に例えると年末の損失発表で土俵際まで押し込まれ、今回さらに押されて徳俵に片足1本でかろうじて残っているような状況か。

ここでは、2月第3週を終えた時点で東芝の置かれている状況を整理し、今後どうなるか考えてみた。

なお、東芝の粉飾決算〜巨額損失発表までの経緯はどうなる?東芝(企業)と東芝ラグビー部にてまとめており、まずはこちらを読むことをお勧めしたい。

東芝原発子会社の損失は7,125億円、昨年12月末時点は債務超過に

東芝は上記の通り、第3四半期の決算を発表できなかったが、監査法人の承認を得ていない独自の数字を公表しており、その主な内容は以下の通り。

・原発子会社の事業による損失は7,125億円
・17年3月通期では3,900億円の最終赤字となる見通し
・昨年末時点の株主資本は1,912億円のマイナス

つまり、12月末時点においては債務超過(全資産を売却しても負債を返せない状態)となっており、このままだと2016年度本決算では3,900億円の赤字となり、さらに債務超過に陥るということ。

また東芝は好調な半導体メモリー事業を分社化して20%未満の資本を受け入れるとしていたが、ここにきて「過半数」以上の資本の受け入れも検討すると発表した。

東芝としては喫緊にキャッシュを必要としており、そのために事業単体で約2兆円の企業価値がある主力の半導体メモリー事業を手放すことも検討しているほど追い詰められているということだ。稼ぎ頭の半導体メモリーを他社に売り渡すことになれば、再生への道も険しくなる。

東芝の株価は昨年12月の損失発表前は450円近辺だったが、2月17日の終値は184円。2ヶ月弱で半値以下となり時価総額は7,700億円まで下がった。

東芝は創業113年、連結従業員数17万人の伝統のある巨大企業でありながら、時価総額はZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ(連結従業員数819人 )やLINE(同3,393人)といった歴史の浅いIT企業と同じ水準だ。

急いで資本増強する?or東証2部への降格を受け入れ再建を目指す?

東芝は3月末時点で債務超過に陥った場合、東証のルールにより現在の東証1部から8月に2部へ降格し、さらに18年3月末も債務超過となれば上場廃止となる。

東証には一部、二部、マザーズ、JASDAQの市場区分があり、一般的に二部やマザーズの企業は、審査基準が厳しく信頼性が高い一部を目指す。頻繁に耳にする大企業はほとんどが東証一部上場企業だ。

東証1部→2部へ降格した場合の影響としては、信用度が低下し資金調達が難しくなるだけでなく、機関投資家などが投資する際の条件として「一部上場銘柄」としているケースもあることから株価を下げる要因ともなり、企業としての体力が縮小することに繋がる。

一方で、今年の3月末時点の債務超過を防ぐために急いで半導体メモリー事業を売却して安値で買い叩かれるよりは、二部降格を受け入れてでも4月以降に入札をやり直して東芝にとってよりよい条件を引き出すべきとの意見もあり、経営陣は難しい選択を迫られている。

サザエさんのスポンサーと東芝ラグビー部の行方

一般的に企業が業績不振に陥った場合、企業スポーツなど本業とは関係無い部門や広告宣伝費の見直しから着手する。

カルロス・ゴーンは日産自動車がリーマンショックを受けて業績不振に陥った際、名門野球部を含む運動部を休部させ、今もなお活動は再開されていない。

東芝は従業員を約1万4,000人リストラし、社員のボーナスをカット、数年前から事業や資産を売却しているが、サザエさんのスポンサーとラグビー部には手をつけていない。

伝統や歴史を重んじる日本人の経営者といえどもこの状況で年間で数十億かかるCMを継続するのは困難か。東芝は1969年にサザエさんがスタートした時からスポンサーになっているが、日曜の夜にフジテレビで東芝のお馴染みのCMを見れなくなる可能性は高いのではないか。

ラグビー部は2016年シーズンを終え来シーズンに向けて活動を再開しようとしている。2月から始まるスーパーラグビー「サンウルブズ」にも東芝から多くの選手が参加、トップリーグの親会社としてだけでなく日本代表のスポンサーとしても東芝は日本ラグビーを支えてきた。

経営陣の判断がどう転ぶか想像するのは難しいが、希望的観測も込めてラグビー部は存続すると願いたい。しかし予算の縮小は避けられないし、新たな外国人選手を獲得することもできないだろう。

2016年の成績は9位と低迷したが選手層はトップリーグの中でもトップクラスで地力は十分にある。2019年W杯日本大会を前に強豪チームが解散ともなれば、代表の強化にも影響する。ラグビー部は存続してほしいというのがラグビーファン共通の願いだ。

レッドカード寸前の東芝。どうなる?東芝(企業)と東芝ラグビー部

2017.01.20