全国高校ラグビー大会「花園」は夏に開催しよう!

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全国高校ラグビー大会「花園」は夏に開催しよう!

年末年始に行われた「第96回全国高校ラグビー大会(花園)」は東福岡高校が高校三冠を達成し幕を閉じた。

花園上位校はどのチームも選手の能力・スキルが高いだけでなく、ウェイトと食事管理も徹底しているようで高校生とは思えない程の体格をしている選手も多い。

戦術も高度化しており、FWはガツンと当たってBKは外へ素早く展開といった単純なものではなく、キックやデコイ(ダミー)を使ったサインプレーを交えるなど複雑で多彩なプレーをよく見るようになった。

花園で優勝を狙うためには選手の個の能力を高めるだけでなく、ライバルチームを映像等で徹底的に分析、正確なデータを基に相手の弱点をあぶり出し、戦略を練ったうえでのゲームプランが必要となり、数年前と比べても実力校のチーム力は向上、ハイレベルな試合が多くなった印象だ。

上位校の強化は進んでいるとはいえ、年々ラグビー部員は減少、予選参加校もピーク時の半分となり、未だ絶対的な上下関係が存在、何時間もランパスを続けるといった時代錯誤の練習をしている学校もあり問題も多い。

大学、社会人では来年度から日本選手権の大学枠が撤廃、大学の関東リーグ戦と対抗戦の統合を検討、TLスケジュールも変わり、様々な変更が予定されている。

高校についてはこれまで通りとなるが、果たしてそれでよいのだろうか?ここでは、個人的に高校時代から思っていた「花園は夏休みに開催すべき」という私案を紹介したい。

花園を夏に開催すべき理由

進学校のラグビー部員のほとんどは3年の春に引退する

各都道府県の花園予選は10月、11月頃に行われ、花園に出場した場合、3年生はセンター試験直前までラグビー漬けの日々を送ることになる。

進学校のラグビー部員は受験に向けて勉強時間を確保するために、春の大会を終えたら「引退」or「継続」かを迫られる。母校や周りの学校を見てきた肌感覚だと8割は引退を選択している。

きつい練習を耐えて頑張ってきたのに、最後の一番大きな大会に出場しないのは、本人が選択した結果とはいえ残念な事だ。

野球のように予選を6月、7月に行い、全国大会を8月に開催すれば3年生が最後に揃って引退できる。

他のスポーツでも冬に本番を迎えるものもあるが、ラグビーの場合、部員と予選参加校の減少が深刻でラグビー部員は1991年の5万7,826人をピークに2016年は2万3,602人、参加校は1,490校→「750チーム」に半減している。「チーム」としているのは人数の少ない高校が複数校合同で1チームとして出場しているケースがあるため。

進学校の3年生も最後の大会に出場することで、単独で予選に参加する高校も増えることも期待できる。

年末年始の忙しい時を避け、夏に余裕をもって開催する

2016年-17年に開催された花園第96回大会の場合、1回戦が12月27日、試合は元旦にも行われ決勝戦は1月7日。花園は毎年、1年で最も忙しい年末年始の時期に開催される。

高校の冬休みは2週間程度。この期間に大会をすべて終わらせる必要があり、花園のスケジュールは過密日程で、勝ち進んだ場合、中1日で次々に試合を行わなければならない。

ラグビーは強度が高く、消耗が激しいスポーツのため社会人レベルだと一般的に試合の間隔は中5日、6日は必要とされる。

高校の場合、30分ハーフで社会人ほど強度も高くないとはいえ、中1日は過酷だ。休みの期間が長い夏休みに開催すれば日程に余裕をもって開催できる。

高校生活をラグビーのみで終わらせない

日本の体育会系の部活動はいまだに多くが軍隊式で練習がハード、休みも週に1日程度しかないところがほとんど。

朝から夕方まで授業、放課後に練習してそのあとウェイト、土日は試合でたまに合宿と、高校生活は授業と部活一色となり、青春を謳歌するといった生活からはほど遠い。

欧米の学校ようにスポーツは冬はバスケ、夏はサッカー、春と秋はラグビーをenjoy、練習時間も短いのでプライベートも楽しむことができる。というような高校生活は、残念ながら不可能だ。

大学進学を考えている生徒は引退後は勉強中心となるが、夏に部活動を終えることで、自分の将来をじっくり考えたり、高校時代にしかできなことを最後の半年間でできるようになる。

トップレベルの選手を集めた強化を図る

高校のトップレベルの選手で大学でもラグビーを続け、将来はトップリーグや代表を目指すという生徒は、引退後も高校での練習が中心となる。

日本ラグビーを強くする枠組みの一つとして、夏以降に引退した3年生で優れた選手を200人程度選抜し、特別強化選手としてより高いレベルを目指す制度を整えれば、将来の代表候補選手の底上げを図ることができる。

イメージとしては月に1回程度、それぞれ100人程が東京と大阪に集まって合宿を行い、その中から最終的には翌春に海外へ遠征する高校日本代表選手を選抜する。

現在も年に数回「U18TIDユースキャンプ」を開催しているが、これを引退した3年生に限定し、さらに濃い内容とするもの。

専門のコーチからより高いレベルのコーチングを受けるだけでなく、同世代を代表する選手が一堂に会して切磋琢磨し、将来のラグビー界を担う選手の意識レベルを上げて、いずれは代表にという強化の一環として機能するはずだ。

夏に花園を開催することのデメリット

当然いいことばかりではなく、夏に開催する場合のデメリットもあり、暑い中では体力の消耗が激しくなること、「ラグビー=冬のスポーツ」という印象からくる違和感、これまで冬に開催してきた伝統が崩れることなどがあげられる。

暑さに関してはスーパーラグビーでも30度を超える猛暑の中行われることもあり、試合途中でウォーターブレイクを設けることで問題はなさそうだ。

またチーム力を一番向上させることができる夏休みの期間に、前倒しで最後の大会を行うことで、チームの完成度が低下するといった懸念もある。

菅平などにある夏のラグビー合宿地のホテルや旅館にとっては合宿するチームが少なくなり、営業に影響が出ることは確実だ。

しかし慣例で長年続けてきた事ほど一旦立ち止まって別の視点から考えることで、変えた方がいいのでは?ということがよくある。

高校ラグビーも最後の大会を年末年始に開催しなければいけない絶対的な理由はないはず。

大学やトップリーグだけでなく、この際、高校ラグビーについても高校ラガーマンにとって最善な方法を再考してほしい。

全国高校ラグビー「花園」東福岡が優勝、高校三冠達成!

2017.01.07