国策で進める中国のラグビープロリーグ設立と普及は成功するか?

中国ラグビー

ラグビー選手も爆買い?中国のラグビー改革は成功するか?

AFP通信や海外のラグビーメディアは中国のアリババグループ(阿里巴巴集団)傘下のアリババスポーツが、ラグビーの普及やプロ化のために10年間で1億ドル(約104億円)を投資すると報じた。

中国のラグビーといえば、7人制女子代表は日本と接戦を演じるものの、男子は全くと言っていいほど人気と実力がなく、アジアにおいても苦戦を強いられている。

ラグビー世界ランキング男子のアジアトップは日本の12位、中国は68位でアジアの中でも9位。これを一気にラグビー強国への第一歩とすべく、中国らしく大胆で野心的な施策と目標が並んだ。

中国ラグビーの普及策と目標

・15人制の男女プロラグビーリーグの設立
・7人制ラグビーの強化
・学校等をベースに1万のラグビーチームを立ち上げる
・5年で新しいラグビー競技者を100万人を獲得
・3万人のコーチを養成
・ラグビーの試合をテレビやネットで試合を放送

これらの施策は経済、軍事だけでなく、スポーツにおいても世界一を目指して国威発揚を図るという国策の元に進められており、そのことを示すかのように、学校での普及活動については中国教育局からも認可を受けている。

ちなみに中国国内のラグビー競技者は76,000人(香港除く)で、ここ5年間でその10倍以上の新たな競技者を獲得しようとしているから驚くばかりだ。

中国がラグビー強化を図る背景

中国が国策(アリババを使って)でラグビーの普及・強化を図る理由としては、7人制ラグビーがオリンピック競技に採用されたこと、ラグビーW杯は観客動員(240万人)や視聴人数(40億人)でオリンピックとサッカーW杯に次ぐ世界で3番目のビックイベントのため。

アメリカでは今年からプロリーグがスタート、ラグビー強国ではないドイツやロシア、オランダをはじめ、世界的にラグビー人口と人気が増えていることも背景にあるだろう。

また、オリンピックでは飛び込みやウェイトリフティグで金メダルを量産するものの、陸上や競泳といった花形競技では勝つことができず、そのスポーツコンプレックスを人気の高いサッカーやラグビーを強化することにより払拭しようとしているのではないか。

なにしろ中国は外国人では理解できないほど面子と体裁を重んじる国だ。

先んじて強化を図っているサッカーのスーパーリーグ(中国超級)では、リーグ全体で移籍金に400億円以上を投じ、英プレミアリーグを抜いたことが話題になったが、肝心の中国代表チームはW杯アジア最終予選ではグループAで1分3敗の最下位と既に2018年のW杯出場はほぼ絶望的な状況となっている。

ラグビーはサッカーほど競争が厳しくなく、中国が世界一を目指すのであれば、サッカーよりもラグビーの方が可能性があるともいえる。

アリババとソフトバンク

1億ドル(約104億円)という投資金額を見て驚いた人も多いと思うが、アリババからするとちょっとしたゲーム感覚かもしれない。

ネット通販等IT全般のビジネスで大成功を収めたアリババは時価総額では中国No1、世界でも10番目に相当し約30兆円の企業価値がある大企業。

日本で一番大きい会社のトヨタは20兆円、アリババが設立されたのは1999年と若い会社であることを考えると、中国の経済発展を最も体現した企業と言えるだろう。創業者であるジャック・マーは世界的な資産家として有名だ。

アリババが約100億円をラグビーに投資すると聞いて、ソフトバンクを思い出した方も多いのではないか。ソフトバンクはバスケに120億円を投資しBリーグがスタート、スポナビでも試合をネット配信するなど野球に続きバスケットでもビジネスを展開している。

ソフトバンクの孫正義社長は2000年当時、まだ駆け出しのジャック・マーに僅か5分の面談で20億円の投資を決定、ソフトバンクは未だにアリババの株式を約3割保有している大株主であり、2人の個人的なつながりも強い。

ジャック・マーが孫社長にラグビーへの投資について意見を求めたこともあるかもしれない。

中国ラグビーが成功するには日本の力が必要

かつて中国で2年間暮らしていた時、テレビや雑誌でラグビーを見た記憶はなく、スポーツで人気があったのはバスケとサッカーだった。

特にNBAやヨーロッパサッカーはテレビでも頻繁に放送されており、市場に行けば偽物のマンUやブルズのユニフォームが販売されていた。中国国内のバスケやサッカーはテレビ放送こそ多かったものの、盛り上がっていた印象はない。

国策でラグビーを強化すると決めた以上、国が先導を切ってラグビー向きの身体能力の高い少年少女をを発掘して、少数精鋭で鍛え強化を図ることになるだろうが、草の根ベースでラグビーが普及し、文化が根付かないとラグビー強国になるのは不可能。

ラグビーの歴史が古い日本ですら、ラグビー文化が根付いているとはいえない。

今回の中国のラグビーの普及とプロ化は日本にとっては歓迎すべきことで、積極的に指導者を派遣したり、選手を受け入れるなど協力すべきだ。アジアでは圧倒的に1位の座にある日本にライバルが出現することによって、日本の強化も図られるだろう。

さらに、中国のプロラグビー化が成功することで、日本のラガーマンが活躍する場所も新たに開けてくる。

眠れる獅子が目を覚ましてラグビーでも日本のライバルになりうるか。これから中国ラグビーにも注目していきたい。

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2016.09.28