バスケをプロ化に導いた川淵三郎チェアマンが語るラグビーへの苦言とスポーツの未来

川淵三郎

B.LEAGUE誕生の立役者が語るラグビーへの苦言とスポーツの未来

2016年9月22日、男子バスケットのプロリーグ「B.LEAGUE」が華々しく開幕した。開幕戦のチケットは即完売、フジテレビはゴールデンでライブ中継し、試合前にはDJやタレントが会場を盛り上げ、バスケの明るい未来を感じさせる幕開けとなった。

男子バスケ日本代表は世界ランキングは48位、アジアでも8位とレベルが低いだけでなく、2015年までNBLとbJリーグの2リーグに分かれ、国際バスケットボール連盟から統合するように指導されていたにもかかわらず、運営方針の違いなどにより交渉のテーブルにすらつくことができなかった。

そのため、代表チームは国際試合やオリンピック予選に出場できなくなる危機に。そこで請われて日本バスケ界の改革にあたったのが川淵三郎チェアマン(肩書きは一番しっくりくるチェアマンに統一)だった。

この難題に対しても強烈なリーダーシップで矢継ぎ早に改革を断行、2015年に2つのリーグが統合され今回のプロ化に至った経緯がある。

川淵チェアマンが語ったラグビーへの苦言

日経BP社が運営している「Sport Innovators」というサイトの「川淵三郎キャプテン、スポーツビジネスの未来を大いに語る」というインタビュー記事が非常に読み応えがあって面白く、以下に川淵チェアマンがラグビーに言及した箇所を抜粋してみた。

Jリーグがスタートした当時、一番人気があったのはラグビーでした。

Jリーグが開幕したのは1993年。当時の記録を調べるとラグビーの早明戦は国立に満員の観客を集め、社会人ラグビーは神戸製鋼が強くて盛況、確かにアマチュアスポーツの中ではラグビーは一番人気だったようだ。

ちなみにラグビーのプロ化は世界的にみてもサッカーよりも遅れていて、英プレミアシップは1987年から、仏トップ14がプロ化されたのは1995年、スーパーラグビーは1996年にスタートしている。

トップリーグは2003年からのスタートで、今もなおプロではなく「社会人ラグビーの全国リーグ」だ。

かつて多くのファンを集めていたラグビーが、なぜ今のように観客が少ない状況になったか。確かに大学の対抗戦はお客さんがいっぱい入ったけれど「来たければ来ていいよ。来たい人は勝手に来なさいよ」と、ずっとこういう姿勢だったんです。ファンのことを考えて「こうしよう、ああしよう」とほとんど考えたことがなかったと言ってもいい。それがサッカーよりも観客動員が比べ物にならないくらいに少ない競技になっちゃった理由でしょう。僕らの若い時代は、ラグビーの方がはるかに観客動員が多かったんだから。

地域密着型のチームを各地に作ってファンサービスを徹底してきたサッカーと、役所仕事で熱意がなかったラグビーの差は今や人気や注目度では歴然とした結果に。

ラグビーは、あんなに素晴らしい昨年のワールドカップがあった後、今シーズンのトップリーグはお客さんがそんなに入っていない。先日の開幕戦が9000人強でしたね。開幕戦は、強豪同士のカードでヤマハ発動機とパナソニックですよ。優勝候補同士の対決だったのに、9000人と聞いてガックリしました。秩父宮(ラグビー場)でやったのなら、ここは2万人入らないと。

あの日、秩父宮にいたラグビーファンであれば誰しもが同じことを思ったはず。(開幕戦の観戦記はこちら)。

秩父宮は2.5万人のキャパシティがあるにもかかわらず、開幕戦の観客数は9,243人で空席が目立っていた。東京のど真ん中、複数の駅から徒歩圏内の秩父宮での開幕戦でこの数字は2015年W杯で日本代表が活躍して人気が高まったボーナスがなくなったことを意味する。

また川淵チェアマンは「プロリーグの評価は、観客動員がすべて」とし、多くのファンに試合会場に来てもらうために、アリーナの快適性やリピーターの獲得、試合そのものの魅力などまだまだバスケにおいても課題は多いとしている。

スポーツビジネスの先頭に走ってきたプロが語る言葉だけに説得力がある内容ばかり。選手が頑張るだけではファンがついてこないのは現状のトップリーグを見れば明らかで、運営面でJリーグやB.LEAGUEの前例から学んで改善すべきところは改善しなければ、2019年に日本で開催するW杯ですら盛り上がりに欠けてしまうだろう。

日本ラグビーの核はトップリーグで、まずはトップリーグの観客動員を向上させるべく、ラグビー協会やトップリーグの関係者の方は情熱を持って取り組み、一人でも多くの観客が集うスタジアムにしてほしい。

川淵三郎チェアマンのB.LEAGUE立ち上げの経緯などより詳細は以下にて。

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「リーダー」としての極意と覚悟~川淵三郎氏

【観戦記】トップリーグ2016開幕戦パナソニックvsヤマハ

2016.08.27